分水嶺

今は、地方へ行く事が多い。

それも特定の場所である。移動は、もっぱら車。おおざっぱには瀬戸内から日本海中国山地を越えて行くルートだ。

時間に余裕が無い事が多く、いけないと思いながらも高速道路を使いがちになってしまう。
この日は休み、高速を一切使わず、いつもの地方へ向かった。

快晴だし、時間の制約も無いし、どうせなら通った事の無い道を行こうと決めた。ナビゲーションは使わない質だ。

何時も迷えば道中で人々に行き方を聞くスタイルだ。
中国山地は、もののけ姫の舞台になり山深く広大な山脈が連なっている。

今回は兵庫県の宍粟から鳥取を越えるルートを選んだ。

街道は無数に有るが、何れも、かなり曲がりくねって厳しい山道が続く。

冬場は遠慮したいルートばかりだ。
ひたすら山頂を目指し、アクセルを踏み込む。


相棒の車はDセグメントのコンパクトカーだがターボ付きのディーゼル車だからトルクが太く何の苦もなくカーブを次々にクリアしてくれるから心強い。
山脈を越える街道は川沿いが多い。

今回の街道も左右に川の流れを見ながら上流を目指す。
何個か上りの小さめのトンネルを抜ける。


そして一番長い平坦なトンネルを抜けた。


やはり、そこからは上りから下りの街道に一気に切り替わる。
川の流れも同じように下流へ向かう。


今のトンネルが、この山脈の分水嶺だったのだと実感する。


日本列島は北から南まで実に長いけど、その半ば辺りを背骨の如く分水嶺が貫く。

 

そこを始まりに数え切れない程の水の流れが始まり合流を繰り返し、日本海と太平洋に行き着く頃には大河になる。

そして山の栄養分を沢山含んだ水が河口から海に入りプランクトンを育て小魚から大きい魚まで、そして動物まで全ての生き物を育む。

勿論人間も含めて。

山の木々等、植物が栄養を溜め込み生命の命を産み出すのだろう。

 

そんな事を考えると何か壮大な中にいる自分のちっぽけさが良く分かる。


さて、間もなく梅雨入り。

たっぷりと降って全ての生き物の源に、なって欲しいと改めて切に思った。


日本列島は大陸から想像を絶する時を経て離脱した。

地理的に特異な位置にある。

お陰で雨量に恵まれ、四季も規則正しく廻る。

 

昨今は温暖化の影響で四季も不安定だが・・

春と秋の実感が薄らいでいる。

 

冬、そして夏が一気にやってくる感である。

 

雨も局地的で以前には無かった。

温暖化で地球が何か、おかしくなってる。

 

原因は私も含む人類だ。

有限な地球を無限の如く扱ってきたのは人類だから。

今からでも遅く無い。

パックとか無駄な梱包材やクッションは不要なモノも多いはずである。

 

 

地球から嫌われて排除されない内に、もっと人類は考えないといけないはずである。

 

蠟燭と鉛筆、そして手提げラジオ。

有事の際はアナログ。

世の中の進歩は凄まじい勢いと実感する。

しかし、それは、あくまでもソフト。

ハードである人間は基本、何も変わっていない。

その事は時代が進んでも肝に命じて行かねばならない。